グループホーム桐の花
井上康男
(入居者Kさんに代わって)
私はもうすぐ百歳。そうセンテナリアン(百寿者)だ。
ここでいつも美味しくご飯を戴き体操し、歩き、よく寝、穏やかな毎日を過ごしている。
ときにやらかしてもいるが、皆さんがやさしく接してくれる。
♪あぁりがぁたや、ありがたや♪と歌が出る感謝の日々だ。
“今日は鬼がきます。みんなで追い出しましょう”
いつも明るく眩しい笑顔の小川さんが叫んでる。
私たちは居間で円陣を組み静かに待つ。
来た、赤鬼とでっかい青鬼だ。
大声でなんか言ってるがよく聞こえない。
右後ろからおどけて楽しげな小岩さんが豆もどきの紙球をくれ、投げる仕草をする。
まずひとつポケットに隠し他を投げた。左後ろから快活な皆川さんも紙球をよこす。
この人が新しいリーダーらしい。
これもひとつポケットに隠し、いっぱい投げた。
鬼も叫ぶし、みんなも叫ぶ。

とうとう鬼は降参し帰っていった。成功!
みんな腹の底から笑っている。ほんにうれしげだ。
お菓子もいっぱいいただいた。ポケットにもいっぱい入れよう。
めっからんようにこっそり。楽しかったわ!
そういえば、鬼に扮してくれた鈴懸の手塚さん、岡村さん、あぁりがとの
